飛鳥井くんはソファーに背を預けながら首をかしげた。
「じゃあ、花岡さんはどうしたいの?」
「え? だから、お見合いしたくなくて、それで……」
「うん。家出して、それから? 具体的にどうするつもり?」
具体的に、どうしたいか。
お見合いはしたくない。
だから家出をしたけど、いつまで家に帰らずにいられるだろう。
寧々子ちゃんが戻ってきても、彼女に頼り続けることはできない。
お友だちの家を転々とし続けるのも現実的じゃない。
だからといって、家に帰っておじいちゃんを説得するなんて、私にとっては非現実的どころか、不可能なことに思えた。
「そんなの、わかんないよ……」
「よほどおじいさんが恐いんだね。それなら、とりあえずここに住む?」
「……え? ここって、飛鳥井くんの部屋?」


