最初は、肩がくっつきそうなくらい近いとか、斜め前にもひとり掛けソファーがあるのにとか、色々考えていたけれど、話しているうちにおじいちゃんへの怒りが再燃してきて他のことはどうでもよくなっていた。
「そうなの! いきなり見合いしろ、婚約して結婚だ、ってひどいと思わない?」
「まあ、いまどき珍しいよね」
「でしょう? おじいちゃんたら、考え方が古いんだよ」
「でも俺たちみたいな立場だと、婚約者って存在自体はそう珍しくもないんじゃない?」
ルポを撫でながらの狼くんの言葉に、一瞬言葉に詰まる。
「それは……そうなんだけど」


