聞いていた寧々子ちゃんはまた顔を赤くして「私、お邪魔みたいなので先においとましますね」と言って、そそくさと帰っていってしまった。

狼くんが恥ずかしいことばっかり堂々と言うから……もう。


「やっとふたりきりになれたね」

「……って言っても、たぶん廊下に剣馬たちがいると思うよ?」

「じゃあ、仁葵ちゃんの可愛い声は聞かせないようにしないとね」

「え……んっ」


悪戯っぽく笑った狼くんが、私を抱きしめ、唇を重ねてきた。

もうすぐ卒業、そしてまた同棲生活が始まる。
きっとあの部屋で、こんな風に彼の腕の中でたっぷり甘やかされて、とろとろに溶かされるにちがいない。

甘い生活を想像しながら、私も自分から深く唇を合わせ、幸せをかみしめた。





*
END