男の子の部屋にきた緊張も、早めにお暇しようという理性も、粉々にして吹き飛ばす威力が猫ちゃんにはあって。
そんな破壊力抜群な魅力に、猫に憧れ続けた私が逆らえるはずがなかった。
「名前はルポ。オスだよ」
「ルポくん! いや、ルポさま!」
「……普通にルポって呼んであげて」
「はい! ルポって名前、何か意味があるの?」
「フランス語で、癒しって意味」
癒し! まさに!
ルポくんは癒しの権化と言っても過言じゃないと思った。
だってすでに、私のイライラや不安な気持ちが癒されているんだもん。
「じゃあ、家出したのはお見合いが嫌だったからなんだ?」
なぜかソファーに並んで座りながら、私はこれまでの事情を飛鳥井くんに話していた。
狼くんの膝の上で丸くなるルポに、視線を吸い寄せられながら。


