嬉しそうに笑って言った彼が、指輪をとり、私の左手薬指に、ゆっくりとはめてくれた。

驚くくらい、そのプラチナは私の指にぴったりだった。


「どうして……」

「仁葵ちゃんが寝てるとき、測ったんだ」

「えっ」

「お見合いが嫌で仁葵ちゃんが家出したって連絡を会長さんにもらったときはどうしようかと思ったけど。仁葵ちゃんの気持ちがわかったから、同棲して、ちゃんと好きになってもらって、そしたらプロポーズしようって決めたんだ」


重くてごめんね？　嫌になった？

不安げにそう聞かれて、私は左手におさまった永遠の輝きを見つめながら、ふるふると首を振った。


「嫌になんて、なるわけない……」

「仁葵ちゃん。……好きだよ。君のこと、世界でいちばん愛してる」


私も、と続けたかった言葉は、重なった狼くんの唇に吸いこまれていった。

初恋も、二度目の恋も、あなただった。
私の全部を、狼くんに捧げよう。