これってまさか、と驚く私の目の前で、狼くんが蓋を開く。

そこには、白い台座の上で静かに、けれど強く輝く大粒の宝石があった。
アンティークカットのダイヤを乗せた、プラチナの輪。

それは紛れもなく――。


「花岡仁葵さん」

「は、はい」

「何よりも大切にし、守り抜くと誓います。俺と……結婚してください」


真っ直ぐな、嘘偽りなど欠片も含まない視線に囚われて、言葉が出ない。

まさかこの場所で、あのときの初恋の彼に告白されるなんて。
プロポーズされるなんて、想像もできなかった。


「狼くん……本物の王子様みたい」

「じゃあ、仁葵ちゃんはやっぱりお姫様だね」

「お姫様に、なってもいいの?」

「仁葵ちゃん以外にお姫様なんていないよ」