タクシーを降りた先にあったのは、単身者向けのデザイナーズマンションだった。
ロビーにはコンシェルジュが常駐していて、セキュリティーは万全らしい。
その最上階の部屋に飛鳥井くんは住んでいた。
通されたのは1SLDKの部屋で、大きな窓の向こうは広いバルコニーがある。
家具はグレーや白黒などモノトーンで統一されているけれど、あちこちにグリーンやウッド素材の家具が置かれていて、無機質の中に温もりが感じられた。
うーん、おしゃれだ。
うちはおじいちゃんの趣味で、荘厳なアンティーク調の内装で揃えられているから、こういうスタイリッシュなお家は憧れなんだよね。
そして、例の猫ちゃんはソファーにいた。
柔らかいクリーム色の長毛の、スコティッシュフォールド。
ぺたんとした耳と、くるりんと見上げてくるヘーゼルの瞳が本当に愛らしい。
私は目が合った一瞬で虜になってしまった。


