美鳥さんのあまりの剣幕に、私は狼くんから離れようとした。
彼女の目が私を『人の男を取る女』だと言っているみたいで恐くて。
でも狼くんの手は、私の手をしっかりと握って離そうとしなかった。
「そうやって、周りが誤解するようなことを言うなって、何度も言ってるだろ」
「誤解って何? 私と狼は婚約者でしょ!」
「それは子どもの頃に美鳥が勝手に言い出したことだろ。子どもの言うことだからって放っておいたけど、もう俺たちは子どもじゃない。ごっこ遊びはやめるんだ」
「ひどい……どうして急にそんなこと言うの? 子どもとか子どもじゃないとか関係ないわ! 私の狼を好きっていう気持ちはずっと変わらないもの!」
癇癪を起したように叫ぶ美鳥さんに、狼くんは深くため息をついた。


