きれいな黒髪の美少女が頭に浮かんだとき、どこかから「狼!」と彼を呼ぶ声が響いた。
ふたり同時に振り返ると、そこには頭に浮かべていた彼女が立っていて、こちらを強く睨みつけていた。
藤島美鳥さん。
ネイビーの、腰から切り返しでふんわりと広がるワンピースを着た彼女は、ツカツカと歩み寄り、私を押しのけようとした。
でもその手が届く前に、狼くんが私を守るように間に入ってくれた。
「何するんだ美鳥」
「それはこっちのセリフよ! どういうこと!? なんで狼がお見合いなんて!」
「見合いだと知っててここまで来たのか? 非常識だろ」
「だって! 私がいるのにお見合いなんて、許せないじゃない! しかもこの女となんて!」


