「どうして……最初に言ってくれなかったの? あのとき助けてくれた男の子だってわかってたら私……」
「ごめん。俺はずるい奴だから、君を助けられなかった過去をなかったことにしたかったんだ。それで最初から、出逢いのところからやり直したいと思ったんだよ」
隠してて、本当にごめん。
謝られたら、怒れない。
正直に話してくれていたら、こんな風にこじれたりしなかったのに。
でも狼くんが叱られた犬みたいな顔をするから、これ以上責めることなんてできなかった。
だって、垂れた耳としっぽが見えるんだもん。
「知らなかったから私、二回も同じ人に失恋したと思って……って、じゃああの人は? 狼くんの婚約者の――」


