結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


「……仁葵ちゃん」

「……はい」

「外に、出てみない?」


微笑みを浮かべる彼の背後。
そこに広がる緑の庭園に目をやって、私は小さくうなずいた。

料亭を出て、このホテル自慢の日本庭園を、彼の後ろについて歩く。

少し前までは、手を繋いで歩いていたのになあ。
そう思った途端、履きなれない草履のせいでつまずいてしまう。

でも転ぶ直前、振り返った狼くんが私の体を抱きとめてくれた。


「あ……っ」

「大丈夫? ごめんね。もっとゆっくり歩こうか」

「……ありがとう」


遠慮がちに差し伸べられた手を、私も遠慮がちにとる。

デートをしたときみたいに握るんじゃなく、そっと添えるだけだけど、少しだけ距離が戻ったような気持ちになった。