狼くんの背中を優しく叩き、辰男さんは笑みを深める。
「どうしても日本でやりたいことがあるって言うんだ。詳しくは教えてくれないんだが、どうも人を探しているみたいでね。結局入る学校も、住む場所も、自分で決めて本当に親元を離れ日本で暮らし始めてしまった。そこまでして会いたい相手とは、いったいどんな人なんだろうと僕も気になっていたんだよ」
「それって……」
「花岡仁葵さん。狼があなたに会いたいと願っていたように、僕もあなたに会うことを楽しみにしていました」
辰男さんの横で、狼くんが黙ったまま頬を少し赤くしている。
つまり、辰男さんの話は本当だということ?
私は狼くんと辰男さんを交互に見て、何度も瞬きを繰り返すしかない。


