「飛鳥井よ。わしはそんなに暇じゃないぞ」
「相変わらずだな。なら花岡は先に帰っても構わないよ。僕が若いふたりを責任もって見届けよう」
「……帰るとは言ってない。仁葵、さっさと座らんか」
ムスッとした顔で私を急かすおじいちゃんを、眼鏡の男性は優しい目で見ている。
この人がおじいちゃんの旧友で、それで、飛鳥井くんのおじいちゃんなの?
「仁葵ちゃん。座ろうか」
「あ……。う、うん。ありがとう」
狼くんにバッグを手渡され、どぎまぎしながら受け取る。
狼くんと向かい合う形で座ると、早速狼くんのおじいさん(辰男さんというらしい)が深々と頭を下げるので驚いた。
「この度は、孫である狼のわがままを聞いていただき、感謝しています」


