色素の薄い柔らかな髪を横に流し、体にぴたりとフィットしたス―ツを着た狼くんは、普段よりぐっと大人っぽく見える。
ライトブラウンのスーツに合わせたネクタイは、偶然にも私の着物と同じ鮮やかな空色だった。
「どうして、狼くんが……」
「ごめん。昨日メッセージを送った通り、ずっと仁葵ちゃんに隠してたことがあるんだ」
「どういうこと? わかんないよ……」
軽いめまいを覚えるくらい、混乱していた。
いま目の前に彼がいる事実が、私の置かれた状況がちっとも理解できない。
立っているのもやっとな私に「まあ、立ち話もなんだから」と眼鏡の男性が優しく声をかけてくれた。
「ふたりとも、まずは座ったらどうかね。時間はたっぷりあるんだから」


