「ちょ、ちょっとだけ、猫ちゃんに会いに行っても……」
「うん。おいで」
「本当にちょっとだけで、すぐお暇するから……!」
「ゆっくりしてっていいよ」
今度こそ行こう、と飛鳥井くんが空いている手で私の手を握る。
えっ。どうして手繋ぎ……?
驚きながらも彼の手に引かれるまま歩き出す。
すぐに、混んでいるからはぐれないようにだと気づいたけど、ドキドキと高鳴る胸はなかなか落ち着かなかった。
男の子と、はじめて手を繋いじゃった。
小さい頃はあったかもしれないけど、大きくなってからははじめてだ。
繋いだ手は夏なのにひんやりと冷たくて、でもとても優しく感じた。


