同じテーブルにつくお母さんも、私とおじいちゃんを見てオロオロしている。
でも基本的にお母さんはおじいちゃんの言うことには逆らわない。
つまりここに、私の味方はいないのだ。


「今月末に翠明亭で見合いだ。いや、見合いと言っても、婚約のための顔合わせだな」

「……は?」

「見合いのあとは婚約。そして高校を卒業したら結婚しなさい」

「はあああ!?」


結婚!? 卒業と同時に結婚!?
いままでそんな話、一度だってしたことなかったよね?

だから私は、高校を卒業したら看護科のある大学に進んで、将来は看護師になると決めていたのに。
小さい頃からの夢だったのだ。
白衣を着た優しい看護師さんになるのが、ずっと夢だった。

それなのに、おじいちゃんの友だちの孫だとかいう知らない相手と、高校を卒業したら結婚しろだなんて……。

そんなの、はいわかりました、なんて言えるはずないでしょ!