結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


私を助けてくれたときの、厳しい顔。

ルポを可愛がるときの、慈愛に満ちた顔。

いつもより少し幼く見える、安らかな寝顔。

私をエスコートしてくれる、凛とした横顔。

抱き着いてくるときの、警戒を解いた甘え顔。

七色の光に照らされた、きれいでかっこいいキスの顔。


まだこんなに狼くんのことを想っているのに、私は――。


「仁葵。何をしている。早く入ってきなさい」

「……はい」


おじいちゃんに呼ばれ、ぐっと目をつむる。

そして自分に改めて強く言い聞かせた。
私はもう失恋したんだ、と。

いまはムリでも、いずれ狼くんのことも過去の恋としてゆっくりと忘れていく。
つらいのはいまだけで、心に蓋をしていればいい。

だから大丈夫。

顔を上げ、一歩踏み出した。