結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


「失礼いたします。お連れ様がいらっしゃいました」

「どうぞ」


短い返事でも、穏やかさが伝わってくるような声だった。

店員が襖を開き、おじいちゃんが先に入る。
すぐに「久しぶりだな」「いや、先月会ったばかりだろう」「年だからもう忘れた」「よく言う」と軽口が交わされるのが聞こえてきた。

それを聞きながらも、私は敷居をまたげず固まっていた。

すぐそこに、お見合いの相手がいる。
もしかしたら、私が将来結婚することになるかもしれない人が。

本当に、いいの?
このまま会っちゃっていいの?

覚悟を決めたはずなのに、この期に及んで足が竦むなんて。
情けないと自分で自分にあきれたくなる。

でも、さっきから狼くんの顔が頭に浮かんで離れないのだ。