店内ではおじいちゃんが席に向かわず待っていてくれて、私を見るとひとつ頷き歩き出した。
黙ってそれに続いて奥へと向かう。
貸し切りにしているのか、他の客の姿はなく、店は静まり返っている。
それが余計に私の緊張をうながした。
「中でお連れ様がお待ちです」
座敷の襖の前で、店員が恭しく頭を下げ言った。
お連れ様。
つまり、今日のお見合い相手だ。
おじいちゃんの旧友の孫で、私と同い年という情報しか知らされていないけど、おじいちゃん曰くとても優秀な人らしい。
私は頭の出来が良いとはとても言えないレベルだけど、話は合うだろうか。
頭の良い人の話についていけるだろうか。
開き直ったつもりだったけど、全然ダメだ。
緊張で吐いちゃいそう。


