思ってもいない言葉をかけられて、勢いよく顔を上げる。
ぽかんと飛鳥井くんの整った顔を見上げると、彼は「放っとけないから」と言い訳するように呟いた。
「どうするかは、移動してから話そうよ」
「え、で、でも……いいの?」
「さすがにこんな時間に、クラスメイトの女の子を置いていけないし」
「けど、こんな時間に……」
男の子の家に行っていいもの?
迷う私に、狼くんは少し考えるような素振りを見せると、おもむろにこう行った。
「実は、猫を飼ってるんだよね」
「ね……猫!?」
「うん。クリーム色の毛の、スコティッシュフォールド」


