「ルポ。短い間だったけど、楽しかったよ」


ありがとう、とルポのひたいにキスをする。
元気でいてね。狼くんと幸せにね。

そっと床に降ろしても、ルポは私から離れない。
もしかして何かを察して心配してくれているんだろうか。

賢い子だから、きっとそうだ。
ルポの優しさに、ますます離れがたい気持ちになったけど、もう行かなくちゃ。

元々、この同棲は期間限定だった。
いつかはウソの恋人関係を解消して、家に帰らなくちゃいけなかったんだから。

寂しいのは最初だけ。
ルポもすぐに私がいない生活に慣れて、私のことは忘れるだろう。
その頃には、ここに住むのは狼くんともうひとり、美鳥さんになっているのかもしれない。