本当に婚約者がいるのかどうか、狼くんの口から聞きたい。
いるならどうして私を家に置いてくれたのか、彼の言葉で教えてほしい。
すごく恐いけど、そこを確認しないと、私はどこにも行けそうになかった。
「そうですね。私も、それがいいと思います」
「気が重いなあ……」
「おひとりで話を聞くのがこわければ、私も同席します。遠慮なく声をかけてくださいね」
「寧々子ちゃん……ありがとう」
剣馬をかばうことがあっても、狼くんに良い印象は持っていなくても、寧々子ちゃんは私の味方でいてくれる。
それだけは確かだと、寧々子ちゃんのふんわりとした笑顔が言っている気がした。


