寧々子ちゃんは、狼くんのことがあまり好きじゃないのかもしれない。
親友に恋を応援してもらえないのは、ちょっと悲しいな。
でもとっても優しい人なんだよ、と私が言ったところで、婚約者の話をしたあとだから逆効果だろうし。
そっとため息をつくと、心配そうに顔をのぞきこまれた。
「飛鳥井くんとのこと……仁葵ちゃんは、どうしたいのでしょう?」
「私が、どうしたいか?」
「ええ。いちばん大切なのは、仁葵ちゃんの気持ちだと思うんです。仁葵ちゃんはこれからどうしたいですか? 飛鳥井くんと、どうなりたいですか?」
狼くんと、どうなりたいか。
すぐに答えは出てこなかった。
考えようとしても、美鳥という婚約者の名前がちらついて、何も決められない。
だったら、まず何をしたいのか、するべきなのか。
「……狼くんに、婚約者のことを確認したい、かな」


