「そうだよ。初の放課後デート、ここでよかった?」
「もっちろん! ありがとう、狼くん!」
自然と笑顔になってお礼を言うと、なぜかよしよしと頭を撫でられた。
はしゃいじゃって、子どもっぽく見えたかな。
狼くんは自然な動きで私の手をとると、入場ゲートに向かって歩き出す。
はじめて恋人つなぎをされて、胸がきゅんとなった。
「混んでるから、俺から絶対に離れちゃだめだよ?」
「う、うん。でも私、子どもじゃないから迷子になんてならないよ」
「俺が迷子になるかもしれないでしょ?」
「狼くんが迷子になるの?」
「そうだよ。だから俺の手、しっかり繋いでいてね」
お願いするように言われて、仕方なくうなずく。
ずるいなあ、狼くんは。
そんな言い方されたら、絶対離せないよ。


