結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】



車が停まったのは、海にほど近い場所にある駅前だった。
降りたとたん、かすかな潮の匂いを感じる。


「ここってもしかして……」


私が行きたいって言っていた、海の近くの遊園地?

遊園地で制服デート!
ずっと憧れだったことができると思うと、不安なんて吹き飛んで、わくわくが止まらなくなった。

狼くんは降りたところで待っていてと言っていたけど、本当にここで待っていてもいいのかな。
目印になるような場所に移動したほうがよくないだろうか。

そわそわして落ち着かない。
どれくらいで狼くんが来るのかもわからないし、連絡してみようか。


「着いたよ。狼くんはあとどれくらいで着く?……と。わあ、なんかすごくデートの待ち合わせっぽい!」


メッセージを送信してそれほど経たずに、目の前に車が停まった。
降りてきたのは、白とグリーンのブーケを手にした王子様だった。


「お待たせ、仁葵ちゃん」


完璧王子の笑顔の破壊力といったら……!