家出してからずっと一緒にいたから、こうして離れるのははじめてのことだ。
彼が隣にいないのがこんなに不安になるなんて。
いつの間にか、心まで狼くんの彼女になってしまったみたい。
「私、大丈夫かなあ」
彼とのウソのカレカノ関係が終わって、同棲も解消することになったとき、すんなり前の生活に戻れるだろうか。
気づいたら一緒のベッドに寝ている彼のぬくもりを感じられない朝を、さみしいと思わずにいられるのかな。
「もしかして私、依存してきてる……?」
浮かんだ考えにゾッとした。
狼くんがいないとダメになっちゃったらどうしよう。
私たちは本当の恋人同士じゃない。
狼くんは本当は私の彼氏じゃない。
優しいのも甘いのも、全部演技なのだ。
ひとりきりの車の中で、私は必死に自分に言い聞かせた。


