さっきまでおじいちゃんのことでイライラして、落ちこんで、自己嫌悪にため息もついていたのに。

学校では塩対応の完璧王子は、家ではこんなにも私を甘やかしてくれる。
家出した夜に私を拾ってくれたのが狼くんで、本当によかった。


「遊園地がいいかなあ。あの海の近くの。実は行ったことないんだ」

「では週末にお連れしましょう、お姫さま」


きざっぽく言って、私の頭にキスをひとつ落とした王子様。
思わず頬が熱くなるのを感じ、彼の腕に顔をうずめる。


「狼くん、海外でもすっごくモテてたでしょ……」

「そんなことないよ」


絶対うそ。

彼の甘い愛を味わった人が他にもいるかと思うと、モヤモヤがふくらみすぎて、胸が潰れそうだった。