結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】




夜、シャワーを浴びてリビングに戻ると、狼くんの姿がなかった。


「ルポ。狼くんは?」


ソファーで丸まっていたルポになんとなく声をかける。
もちろん返事をもらえるとは思っていなかったんだけど、ルポはおもむろにソファーを飛び降り、窓へと歩み寄った。

ナアウ、と窓の前でルポが鳴く。
半信半疑でカーテンめくると、バルコニーに彼の後ろ姿を見つけた。

ルポは天使なうえに、ものすごくかしこかったらしい。
ありがとう、と小さな頭を撫でてから、窓を開けた。


「狼くん。夜景を見てるの?」

「ん? ちょっとね」


手すり壁に寄りかかる狼くんの隣りに立つ。
繁華街の明かりは、夜を挑発するかのように眩しくて、面白い。
自分の家にいても絶対に見られない光景は、すべてが目新しく映りわくわくした。


「仁葵ちゃん。下見てごらん」

「下? 何も見えないけど、何かあるの?」

「そこの角に停まってる車、花岡さんちのじゃない?」