*
夜、シャワーを浴びてリビングに戻ると、狼くんの姿がなかった。
「ルポ。狼くんは?」
ソファーで丸まっていたルポになんとなく声をかける。
もちろん返事をもらえるとは思っていなかったんだけど、ルポはおもむろにソファーを飛び降り、窓へと歩み寄った。
ナアウ、と窓の前でルポが鳴く。
半信半疑でカーテンめくると、バルコニーに彼の後ろ姿を見つけた。
ルポは天使なうえに、ものすごくかしこかったらしい。
ありがとう、と小さな頭を撫でてから、窓を開けた。
「狼くん。夜景を見てるの?」
「ん? ちょっとね」
手すり壁に寄りかかる狼くんの隣りに立つ。
繁華街の明かりは、夜を挑発するかのように眩しくて、面白い。
自分の家にいても絶対に見られない光景は、すべてが目新しく映りわくわくした。
「仁葵ちゃん。下見てごらん」
「下? 何も見えないけど、何かあるの?」
「そこの角に停まってる車、花岡さんちのじゃない?」
夜、シャワーを浴びてリビングに戻ると、狼くんの姿がなかった。
「ルポ。狼くんは?」
ソファーで丸まっていたルポになんとなく声をかける。
もちろん返事をもらえるとは思っていなかったんだけど、ルポはおもむろにソファーを飛び降り、窓へと歩み寄った。
ナアウ、と窓の前でルポが鳴く。
半信半疑でカーテンめくると、バルコニーに彼の後ろ姿を見つけた。
ルポは天使なうえに、ものすごくかしこかったらしい。
ありがとう、と小さな頭を撫でてから、窓を開けた。
「狼くん。夜景を見てるの?」
「ん? ちょっとね」
手すり壁に寄りかかる狼くんの隣りに立つ。
繁華街の明かりは、夜を挑発するかのように眩しくて、面白い。
自分の家にいても絶対に見られない光景は、すべてが目新しく映りわくわくした。
「仁葵ちゃん。下見てごらん」
「下? 何も見えないけど、何かあるの?」
「そこの角に停まってる車、花岡さんちのじゃない?」


