「仁葵。本気で言ってるのか」
「ほ、本気だよ。だから剣馬には私たちのことを邪魔する権利なんてないんだからね」
私の強気な発言に、剣馬の眉間がぐぐぐっと寄る。
人ひとり呪い殺せそうなこわい顔つきに、思わず狼くんの影に隠れた。
「……どうせ、見合いが嫌だから、恋人ができたことにして破談にしようとしてるんだろ」
ギクリと身体が強張る。
幼なじみが鋭すぎてこわい。
私の考えていることは、全部お見通しだと言われているみたいだ。
「それでたいして知りもしない男の家に逃げるなら、俺の家でもいいだろ」
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