じろりと睨む剣馬にも、狼くんは少しも怯む様子がなく、マイペースに首をかしげ、私の手を握った。 「でも、いまはもう仁葵ちゃんの彼氏だよ」 「……俺は認めてない」 「別に三船に認められる必要はないからね」 バチバチと、ふたりの間に散る火花が見える。 剣馬はたぶん、狼くんだから反対しているわけじゃない。 狼くん以外の男の子でも誰でも、関係なく反対するんだろう。 おじいちゃんと一緒で、私が何の相談もなく、勝手に彼氏を作ったこと自体が許せないんだ。 「そうだよ。剣馬には関係ないことだもん」