剣馬はちっとも納得できない顔をしながらも、お母さんには逆らいにくいのかグッと言葉を飲みこんだようだった。
私には偉そうにあれこれ言うくせに、やっぱり剣馬は花岡という家が第一なんだ。
「じゃあ仁葵さんが俺の家にいることを、許してくれますか?」
「ええ。というか、こちらからお願いすべきね。しばらく娘を預かっていただけるかしら。なんとか私のほうでもお見合いを回避できるよう、手を尽くすので」
「もちろんです。安心してください。仁葵さんのことは命に代えても守りますので」
狼くんとお母さんとやりとりを聞いていた私は、顔が熱くなった。
命に代えても守るって、なんだかプロポーズの言葉みたいで。
そういうつもりで言ったんじゃないとわかっていても、ドキドキしてしまう。
「仁葵。素敵な子、捕まえたわね~」
ホクホク顔でお母さんがそんなことを言うから、余計に顔が熱くなってのぼせてしまいそうだ。


