結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】



カッと目を見開いて、剣馬が私の腕をつかもうとした。
でもその手が届く前に、狼くんが私を守るように抱き寄せた。


「俺の彼女に許可なく触らないでくれる?」

「ろ、狼くん……」


お母さんが目の前にいるんですけど……。

表情を険しくする剣馬の横で、お母さんが「あらまあ」というように口に手を当て驚いている。
興味津々といった顔で目をキラキラさせるお母さんは、私と狼くんの関係にはしゃいでいたクラスの女の子たちみたいだ。


「ふたりは、お付き合いをしているの?」

「はい。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。仁葵さんとお付き合いをさせてもらっています」

「そうなの~! だから仁葵、家出なんてしたのね?」

「う、うん。そういう感じ、かな?」


お母さんは少女のように頬を染めながら、それなら仕方ないわねと言った。
剣馬がギョッとしてお母さんを見てるけど、お母さんは気づいていない。