目を丸くするお母さんと、私も一緒になって驚く。
そんなはっきり言っちゃってよかったの?
「あなたは……」
「仁葵さんと同じクラスの、飛鳥井狼といいます」
「飛鳥井? じゃああなた、欧州局長の?」
お母さんは狼くんをまじまじと見て、それから感心したようにほぅとため息をついた。
「以前何かのパーティーでお会いしたことがあるはずだけど、覚えていらっしゃるかしら。とても雰囲気が変わられたのね。当然よね。もう高校生なんだもの」
「もちろん覚えています。奥さまはお変わりないようで」
あの頃と変わらずきれいなままで驚きました。
なんてリップサービスを、塩対応に定評のある完璧王子が口にするなんて思いもしなかった。
剣馬がうさんくさそうというか、不愉快そうに狼くんを睨んでいる。
「お上手ね。それで……どうしてうちの娘が、飛鳥井くんのお宅に?」
「週末の夜、怪しい男に絡まれている彼女を保護しました」
「怪しい男だと? 仁葵! やっぱり危ない目に遭ってたんじゃないか!」


