結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


送迎の車に乗るために1階に降りた私たちを、ロビーで剣馬が待ち構えていた。

狼くんを見て一瞬彼を睨んだけど、すぐに私に向き直り、不機嫌そうに「お客様だ」と告げる。


「お客様って……私に?」


まさかおじいちゃんじゃ、と身構える。
でも狼くんが私の手をしっかり握って「大丈夫」と声をかけてくれたから、逃げたかったけどなんとか踏みとどまれた。

剣馬にうながされ談話室に向かうと、そこで待っていたのは厳めしい顔のおじいちゃんではなく、やつれた顔をしたお母さんだった。


「仁葵!」

「お母さん……」

「もう、心配したのよ。あんな遅い時間に家出するなんて。連絡はつかないし、何かあったんじゃないかって気が気じゃなくて。ああ、無事でよかった」


私を抱きしめながら、安堵をため息をつくお母さん。
その腕の強さに、どれだけ心配してくれていたのか伝わってきて、申し訳ない気持ちになった。