*
放課後、狼くんと教室を出て廊下を歩いていると、あちこちから小さな悲鳴が聞こえてきた。
狼くんのかっこよさに興奮する黄色い悲鳴じゃない。
彼の隣りに私がいることに対する、ショックによる悲しい悲鳴だ。
友だちに支えられすすり泣いている子までいて、いったい狼くんの魅力はどうなっているんだと歩いているだけで気が遠くなった。
それなのに当の本人はそんな周囲の状況にまるで興味がないようで、相変わらず眠そうな顔であくびをしている。
ただ、つないだ私の手はしっかりと握り、離してくれる様子もない。
私が特別だ、と周囲に見せつけているんだ。
必要だから、手をつないでいるだけ。
そう自分に言い聞かせていると、胸のモヤモヤがチクチクに変わる。
こんな気持ちになるのははじめてのことで、自分で自分がわからない。
私はいったい、どうしちゃったんだろう。
「仁葵」
放課後、狼くんと教室を出て廊下を歩いていると、あちこちから小さな悲鳴が聞こえてきた。
狼くんのかっこよさに興奮する黄色い悲鳴じゃない。
彼の隣りに私がいることに対する、ショックによる悲しい悲鳴だ。
友だちに支えられすすり泣いている子までいて、いったい狼くんの魅力はどうなっているんだと歩いているだけで気が遠くなった。
それなのに当の本人はそんな周囲の状況にまるで興味がないようで、相変わらず眠そうな顔であくびをしている。
ただ、つないだ私の手はしっかりと握り、離してくれる様子もない。
私が特別だ、と周囲に見せつけているんだ。
必要だから、手をつないでいるだけ。
そう自分に言い聞かせていると、胸のモヤモヤがチクチクに変わる。
こんな気持ちになるのははじめてのことで、自分で自分がわからない。
私はいったい、どうしちゃったんだろう。
「仁葵」


