結婚するのがイヤで家出したらクラスの男子と同棲することになった話【11/16番外編2追加】


私も物心つく前に婚約が決められていたら、あきらめもついたかもしれないのに。
でもいまさらそんなことを考えたって仕方ない。


「それは例えば……三船くんが相手とか?」

「えっ!? な、何言ってるの寧々子ちゃん! 剣馬とそんな風な関係になるなんて、考えたこともないよ!」

「そうなんですか? でも、三船くんは仁葵ちゃんの幼なじみでもあって、お互いのことをいちばんよく知っているでしょう?」

「そうだけど……でも、そんなこと、ありえないもん」


離れた席で昼食をとっている剣馬をこっそり見る。

こうやって、ケンカをしても、剣馬は絶対に私が見える位置にきて、ボディーガードの仕事を忠実にこなそうとする。
それが当たり前で、いまさらそれ以外の関係を想像することなんてできそうにない。


「そうですか……。幼なじみなのに本当のことを教えてもらえないのは、三船くんが少しかわいそうですね」

「……うん。そうだね」


寧々子ちゃんの言葉が胸に刺さる。

剣馬から目をそらした私を、狼くんが静かに見つめていた。