夢に堕ちて、3秒。








国語科職員室までの道のりは長い。
シンとした廊下に、私たちの足音だけが響く。


晶は計算してか、たまたまか、私の手に数冊のノートだけを残して前を歩いている。


多分、わざとだろうな。

歩くたびに跳ねる、色素の薄い髪をぼんやりと眺めていると、不意に前方から声がかかった。


「お前さっき、俺から逃げようとした?」

先程とは打って変わってひどく冷たい声に、喉がカラカラに乾いていくのがわかる。

ゴクリと唾を飲み込んで、震える声を吐き出す。


「そんな、こと…」
「は?」


晶が振り返る。
威圧的な声とつり目がちな瞳に貫かれて、口をつぐんだ。

胸の辺りが、絞られたように痛い。


「…ごめん」

「………遅せぇよ、もっと速く歩けねーの」

「……ごめん。」


視線を落として、晶のことは絶対見ないように、と横に並んだ。

目があったら、何を言われるかわからない。



──これが、晶の本当の姿。
私だけに見せる、威圧的な顔。