突然声をかけられて、立ち止まる。
パタパタと足音を立てて駆け寄ってきたのは、古典の先生だった。
「ごめんねー!呼び止めちゃって。相庭さん確か古典の係よね?これから用事とかってある?」
「えっ…あ、いや…全然……」
突然のことに戸惑って、つい素直に返事をしてしまう。
あ、と気づいた時にはもう遅くて。
「よかった!悪いんだけどこのノート、国語科の職員室まで運んでおいてくれないかしら?先生これからすぐ帰らなくちゃいけなくて…!」
「え、っと……わ、わかりました…」
山積みになったノートを受け取る。
お、重い……。
「本当にごめんね!ありがとう〜!」
なんて言って、先生はバタバタと走り去ってしまった。
がっくりと項垂れて、ため息をつく。
ふとノートに目を落とすと、それは隣のクラスのもので余計にうんざりした。
隣のクラスの古典の係の子に頼めばいいのに。
愚痴をこぼしても仕方ないか、と割り切って、来た道を引き返す。
国語科の職員室は昇降口とは反対方向で、しかも違う棟の3階。
…そんな長い道のりをこの大量のノートを持って行くのか。
もう既に手が痺れかけてきたんだけど。
はぁ、と肩を落とした時。



