昼休み中の廊下は、意外にも人は少なかった。
教室の喧騒が外にまで漏れ出ているけれど、みんなご飯を食べてるんだろう。
廊下にまで出ている人は財布を持って走ってる奴らしかいない。
更紗がゆるりとそちらに視線を移して、
「晶、ご飯は?いつも購買だよね?」
「…今日は更紗と話がしたかったから、先に買ってある。」
…まあ嘘だ。
今からする話がどう転ぶにしたって、ご飯なんか入る余裕はなさそうだったし。
更紗は「そう、」と呟いて目を伏せた。
歩く速度はいつのまにかゆっくりになっていて、屋上前の階段の踊り場で歩は完全に止まる。
ここまで来ると教室の声は聞こえなくなっていて、誰一人通ることもないこの場所はいよいよ静かだった。
ばくばくと、心臓が痛い。
「……更紗」
震える声に、更紗はパッと顔を上げた。
「…更紗、言いたいことが、伝えたいことが、あって」
伝えたい衝動のままに呼びかけてしまったせいで、しどろもどろな言葉しか出てこない。
すごいかっこ悪い、けど。
「……どうしたの」
怪訝そうな顔で、彼女は首を傾げる。
大きく息を吸い込んで、揺れる瞳を見つめた。
「…ごめん、」
「…え」



