夢に堕ちて、3秒。




昼休み中の廊下は、意外にも人は少なかった。

教室の喧騒が外にまで漏れ出ているけれど、みんなご飯を食べてるんだろう。
廊下にまで出ている人は財布を持って走ってる奴らしかいない。


更紗がゆるりとそちらに視線を移して、


「晶、ご飯は?いつも購買だよね?」

「…今日は更紗と話がしたかったから、先に買ってある。」


…まあ嘘だ。

今からする話がどう転ぶにしたって、ご飯なんか入る余裕はなさそうだったし。


更紗は「そう、」と呟いて目を伏せた。


歩く速度はいつのまにかゆっくりになっていて、屋上前の階段の踊り場で歩は完全に止まる。

ここまで来ると教室の声は聞こえなくなっていて、誰一人通ることもないこの場所はいよいよ静かだった。



ばくばくと、心臓が痛い。


「……更紗」

震える声に、更紗はパッと顔を上げた。



「…更紗、言いたいことが、伝えたいことが、あって」

伝えたい衝動のままに呼びかけてしまったせいで、しどろもどろな言葉しか出てこない。


すごいかっこ悪い、けど。

「……どうしたの」


怪訝そうな顔で、彼女は首を傾げる。


大きく息を吸い込んで、揺れる瞳を見つめた。


「…ごめん、」

「…え」