夢に堕ちて、3秒。




……聞き間違いだと、思った。


昼休みの喧騒に紛れて、そういう風に聞こえてしまったんだと。



だけど。

ちらりと盗み見た更紗のはにかんだ顔に、頭の奥がざぁっと冷めていく。

血の気を失うってのはこういうことなんだと、身をもって知った。


なんで?いつから?

更紗に近づく男はみんな追い払ってたし、登下校だって一緒にしていたから道すがらに出会うなんてこともないはずだ。




「────……」


もしかして、つい最近の話?

最近なら、更紗が遅刻してくるから一緒に登校できていないし。


遅めの通学路に更紗をたぶらかす男がいるのかも。

いや、それとも。



ここ最近更紗は授業中に眠ることが多くなった。

授業態度は小学生の頃からずっと真面目で通っていたのに、この間なんてついに先生に怒られていた。

寝坊で遅刻なんていうのも、ここ10年間聞いてすらいなかったのに。



……絶対、おかしい。


もしかして俺と一緒に帰ったあと、夜でかけている、なんてことは…。
でもそんなこと、心配性なおばさんが許すはずがない。


それなら、夜こっそり抜け出しているとか?

…真面目な更紗が、そんなことするようには思えないけど。


それに、更紗がそんな夜に遊び歩くような男を好きになるなんてありえない。

そんなの更紗に、釣り合わない。