「ねえ、2組の平谷さんと河原田くん、付き合い始めたんだって!」
「…そうなんだ」
お似合いだよね、なんて更紗はふわりと笑う。
「彼氏かぁ〜、私にもできるかなぁ?」
ぎくりとした。
色恋の話なんて、興味ないって思ってたのに。
「晶は彼女とかすぐできそうだよね。かっこいいし…。
私なんかは全然縁が無さそうだよ。なんだかクラスの男子にもどことなく避けられてる気がするし…」
更紗はひとりでペラペラと喋っている。
……胃の中がムカムカする。
「ねえ晶、もし彼女ができたら教えてね。こうやって一緒に帰るのとかも控えるようにするし」
…なんの気無しで言った言葉だったんだろう。
でもそれは、俺は恋愛対象の眼中にもないってことで。
「っ俺がどんな気持ちで……っ!!!!」
気づけば、叫んでいた。
更紗は俺が周りを牽制してることなんて知らない。
俺がお前を好きなことなんて知らない。
こんなの、ただの八つ当たりでしかないのに。
喉の奥が苦しくて、焼けるように痛かった。
言わなくたって、伝わってほしかった。
更紗は驚いたように目を見開いて、一瞬、怯えたような顔をした。
「…ご、ごめ……」
その時だ。
背中を得も言われぬ満足感が駆け抜けたのは。



