夢に堕ちて、3秒。



「ねえ、2組の平谷さんと河原田くん、付き合い始めたんだって!」

「…そうなんだ」



お似合いだよね、なんて更紗はふわりと笑う。

「彼氏かぁ〜、私にもできるかなぁ?」


ぎくりとした。
色恋の話なんて、興味ないって思ってたのに。


「晶は彼女とかすぐできそうだよね。かっこいいし…。
私なんかは全然縁が無さそうだよ。なんだかクラスの男子にもどことなく避けられてる気がするし…」


更紗はひとりでペラペラと喋っている。


……胃の中がムカムカする。


「ねえ晶、もし彼女ができたら教えてね。こうやって一緒に帰るのとかも控えるようにするし」


…なんの気無しで言った言葉だったんだろう。
でもそれは、俺は恋愛対象の眼中にもないってことで。


「っ俺がどんな気持ちで……っ!!!!」


気づけば、叫んでいた。
更紗は俺が周りを牽制してることなんて知らない。

俺がお前を好きなことなんて知らない。


こんなの、ただの八つ当たりでしかないのに。



喉の奥が苦しくて、焼けるように痛かった。

言わなくたって、伝わってほしかった。


更紗は驚いたように目を見開いて、一瞬、怯えたような顔をした。



「…ご、ごめ……」

その時だ。
背中を得も言われぬ満足感が駆け抜けたのは。