「……それ、は」
どういう意味。
「俺は夢魔で、言うなれば更紗の夢の中に『勝手に入ってきた』存在だ。なら、どうして更紗の夢の中に入ろうと思ったと思う?」
「…………」
返せない。わからないよ。
………本当、なんだろうか。
黒羽さんの瞳に映る私は、ゆらゆらと揺れていた。
彼は口元に弧を描いて、「それはね、」と呟く。
「俺がずっと更紗のことを見てたからだよ。
ずっと気になってた。傷ついてボロボロになってる更紗のこと、助けたいって思ってたから。
…それが恋に変わるのなんて、すぐだったよ」
「……っ」
信じたい。信じて、いいの?
こんな、自分の気持ちに気づいたばかりで。
好きな人と両想い…なんて、あってもいいんだろうか。
「私……私は、」
声が震える。
喉がカラカラだ。
「私…私も、黒羽さんのことが好きだよ」
呟くと、涙が出そうになった。
好きだ。彼のことが、好きなんだ。
きっとこの気持ちは、本物。
「更紗……」
上から、囁くような声が降ってくる。
恐る恐る見上げると、柔らかな笑みを浮かべた彼と目があった。
「黒羽さ…」
途端、顔が近づいて。
ちゅ、という軽い音と共に額に熱が降る。



