黒羽さんは、私を見てふは、と笑った。
「百面相だ」
「………」
……誰のせいで。
むぅ、とふくれると、彼はまた笑う。
「恥ずかしがらなくても、更紗が寝てる時はいつも膝貸してるのに」
「えっ!?」
知らないところでとんでもないことが起きていた。
って、いうか。
「夢の中なのに、私、寝てるの…?」
それはいくらなんでも寝過ぎじゃない??
それじゃまるで、寝るの大好きな人みたいだ。
でもたしかに、黒羽さんはいつも私に「おはよう」って、言うんだよね。
私は寝てる自覚ないのに。
「まぁ、更紗がこっちに来られるのは夢の中にいる時だけだからね」
「んん…?」
よく、わからない。
人って、寝てるから夢を見るわけであって。
「私が起きてる時も夢の世界は続いてるってこと?」
「そういうこと」
せいかーい、なんてまたヘラヘラと笑っている。
でも、なるほど。それなら納得だ。
だけど…。
「それって、黒羽さん、すごく退屈じゃない?」
1日の中で絶対に起きてる時間の方が長いし、その間夢の世界の私が眠っているのなら、黒羽さんは一人で何してるんだろう。
ここ、テレビとかスマホなんてものもないし。というか、そもそも何もないし。
暇じゃ、ないのかな。



