「もう、そんなことしたら濡れるでしょ」
黒羽さんは苦笑しながら私を抱き起こす。
「寝るなら、ここにして」
そのままポンポンと叩いているのは、彼の膝…もとい、ふともも。
それはつまり、膝枕ってことなるんじゃ。
いつかの日の、あのまつ毛のふれそうな距離を思い出して、頬が熱くなる。
あの時ですら心臓が飛び出そうなほどドキドキしたのに、好きって気づいた今そんなことしたら、私おかしくなっちゃうんじゃない?
「そこは………いい、かな」
身の危険を察知して、身体を起こす。
そんなの、ドキドキして死んじゃうよ。
そんな私の気も知らず、黒羽さんは
「そっか、残念」
なんて笑っていた。
なに、残念って!
思えばいつだって、黒羽さんは思わせぶりだ。
いつも顔近いし、すぐドキドキするようなこと言うし…。
もしかしたら私、大変な人を好きになってしまったのかも。



