思わず胸に、手を当てる。
「更紗?」
そんな私に黒羽さんは不思議そうに首を傾げた。
「あ、う、いや…なにも…!」
至近距離で目があって、耐えられなくなって視線を落とした。
胸がまだ、ドキドキと音を立てている。
そっか。
好き。……これが、好き、なんだ。
晶に抱いていたあの焦げるほどに眩しいキラキラした感情とは違う、優しくて、隣にいるだけで安心できるような。
これだって、『好き』なんだ。
気がついた途端、なんだか安心してしまって、不意に口元が緩む。
「更紗?」
急に笑い出した私が気になったんだろう、黒羽さんがためらいがちに声をかけてくるけど。
「ふふ、なんでもないよ!」
胸の奥がぽかぽかして、くすぐったくて。
私はそのまま水面に寝そべった。



