夢に堕ちて、3秒。




あ、と思った時にはもう遅くて。

どうしよう。遅刻までした上に、こんな風な態度をとったら、また帰り道に何か言われるかも。


恐る恐る顔を上げる。

「……え?」


また、晶と視線が合う。
だけどそこにあったのは、私が想像してたあの鋭いつり目じゃなくて、どこか傷ついたような、不安定な瞳だった。

その瞳が私を捉えて、大きく開かれる。
だけど、そのままフイと逸らされてしまった。


「…なんで晶が、そんな顔するの」


合わなくなった視線の先に向けて、ぽつりとこぼす。


私のこと、嫌いなくせに。
私に向かって散々、ひどいことをしたくせに。

なんでそんな、悲しそうな顔をするの。


胸の中がムカムカして、どうにもならない。



…黒羽さんに、会いたいな。

彼の瞳を見ていると、心が凪いでいくから。


会って、それからまた、彼の話が聞きたい。



あの水面のような瞳を思い出して、胸が苦しくなった。

毎日一緒にいるのに。
なんなら、彼のせいで寝坊までしたのに。


もう会いたいよ。