そこには、今までの人生で見たことないくらい顔が整った男の人が立っていた。
イケメン、というよりは美青年…?って感じの人。
綺麗なサラサラの濡羽色の髪。
髪と同じ色のシャツやパンツから覗く肌は透き通るように白くて。
長いまつ毛に縁取られた白群の瞳は、この場所の水面を映したかのように透明だった。
「更紗?もしかしてまだ、寝ぼけてる?」
思わず穴が空くほど見つめる私に、目の前の青年がふふ、と笑みながらひらひらと手を振る。
「ハッ…!」
いけない。見惚れてた。
2、3度瞬きをして、それから慌てて距離を取る。
彼はさも私のことを知ってるかのような口振りだけど、生憎こんなに美形な知り合いは私にはいないわけで。
「…誰、ですか」
まぁ当然、こうなる。
充分すぎる警戒を露わにする私に、青年は振っていた手を下ろして目を細めて笑った。
「俺?俺はね、黒羽。」
「黒羽…さん……」
似合う名前だなと思った。
彼はサラサラな黒髪が、とても映える人だから。
「じゃあ、問題。俺はどうして更紗のことを知ってるんだと思う?」
「えっ」
それって普通、私が訊くはずなんじゃ…。
そんな急に投げかけられたって、わからない。



