夢に堕ちて、3秒。



視線を晶からアスファルトに移すと、また隣から「なぁ」と呼びかけられた。


「いつもはノロマな癖に、何そんな急いでんの?」

「えっ、べ、別に急いでなんか…」


ぎくりとして、少しスピードを落とす。

「ふーん…あっそ。てか、話題それだけ?」


顔は見れない。
けど、晶の鋭い視線が容易に想像できて、自然と鞄を掴む指に力がこもった。

「………」

「………つまんね」


吐き捨てるように呟かれた言葉。

痛い。ずくずくと頭の中に鼓動が響く。
もう嫌だ。なんで晶は私にだけこんなに辛辣なんだろう。
私、何かしちゃった?それなら、言ってほしい。無理に隣に居ないでほしい。
視界いっぱいのアスファルトが、じわりと滲む。

家まではもう少し。
だけどその道のりがやけに遠く感じて。


毎日、少しずつ。私の好きだった晶が崩れていく。
もう、嫌だ。
もう、私の中の思い出を、あの時の晶を、壊さないで。






その日、泣き出しそうな気持ちのまま帰路に着いた私は、晩御飯も食べずにベッドにこもった。