視線を晶からアスファルトに移すと、また隣から「なぁ」と呼びかけられた。
「いつもはノロマな癖に、何そんな急いでんの?」
「えっ、べ、別に急いでなんか…」
ぎくりとして、少しスピードを落とす。
「ふーん…あっそ。てか、話題それだけ?」
顔は見れない。
けど、晶の鋭い視線が容易に想像できて、自然と鞄を掴む指に力がこもった。
「………」
「………つまんね」
吐き捨てるように呟かれた言葉。
痛い。ずくずくと頭の中に鼓動が響く。
もう嫌だ。なんで晶は私にだけこんなに辛辣なんだろう。
私、何かしちゃった?それなら、言ってほしい。無理に隣に居ないでほしい。
視界いっぱいのアスファルトが、じわりと滲む。
家まではもう少し。
だけどその道のりがやけに遠く感じて。
毎日、少しずつ。私の好きだった晶が崩れていく。
もう、嫌だ。
もう、私の中の思い出を、あの時の晶を、壊さないで。
その日、泣き出しそうな気持ちのまま帰路に着いた私は、晩御飯も食べずにベッドにこもった。



