「直りそうかい? その時計」
「え? あ、はい。とても綺麗なので、お掃除して新しい油を差せばすぐに動きだすと思います」
「見ていていいかな。君のおじいさん譲りの魔法を」
リリカは目を大きく見開いた後で頬を少し染め、頷いた。
「はい!」
中の部品を一度全てバラバラに外し、その小さな小さな部品に付着した古い油をひとつひとつ洗浄、再び組み立て新しい油を差す。
その細かく根気のいる作業を、彼はまるで子供のように目を輝かせながら見つめていた。
「本当に、魔法のようだね」
そう口にした彼にリリカは小さく笑った。
そんなふたりを眺めながら、ピゲはまるで昔のじぃじとリリカを見ているようだと思った。