「……みゆの、メリットは?」
「別に無理してニコニコしてなくていい」
「そんなの、メリットじゃないもん。みゆは、好きでにこにこしてるんですけど」
「じゃあ、うさんくさい笑顔でずっといればいいよ」
「はあ?」
「お前、カステラ好き?」
「……はい?」
「一階で、カステラ売ってるクラス見かけたから。好きなら買ってやるよ。それでいいだろ」
全然よくはないけれど、カステラは好き、ではある、一応。黙っていると、そろそろ折れろよ、って呆れたように和泉しゅうは苦笑いをしてきた。
なんだか私が駄々をこねているみたいで癪なので、渋々頷いてしまう。
そのあと、見上げるように睨んだら、和泉しゅうは、ひらりと私の視線を躱して、すたすたと歩き出してしまった。
人の波の中にもう一度入る。
少し後ろをついていこうと思ったけれど、周りの人に変に思われたくはなかったので、嫌々だけど隣にならんでおいた。



